水族館でイルカを飼育することの是非について、現在ほど活発に論じられたことはかつてなかった。欧米や動物愛護団体から投げかけられたのは、自然界のイルカを追い込み網で捕獲することへの非難であったが、それとともに高度な知能を持つ動物の閉鎖空間での飼育に対する批判も一部に噴出した。水族館に所属する人間は、飼育されたイルカが幸福ではないと一度も感じたこともないし、むしろ、市民の海の動物への興味を喚起するためには必要だと感じている。しかし、旧態依然としたイルカショーだけでは、国際社会や市民の理解を得るには、すでに限界にあると感じ始めている。今回は、水族館のイルカトレーナーのこだわりと本音、そして水族館の新たな取組、そして水族館のイルカを利用している大学の研究者にそれぞれの立場を話してもらい、今後、日本の水族館のイルカ飼育がどのように世界をリードしていくのかを話し合う予定である。