“ホルモン”とは、生物のさまざまな生理現象を調整している物質です。生物を取りまく環境(気候や社会など)が変わると、それに合わせて体内環境を調整するためにホルモンが分泌されます。私は、動物園や野生下など、さまざまな環境下にある動物たちのホルモンの動き(濃度変化)を分析してきました。ホルモンを分析すれば、動物たちの外見からは分からない内面を知ることができます。ホルモンからどのようなことが分かったのか。ホルモン研究から分かった彼らの本音?をご紹介します。
チンパンジーやオランウータンなどの大型類人猿は、ヒト科に分類されていて、進化的にヒトに近い生物です。彼らの心や、くらしを研究すると、ヒトの特徴が見えてきます。さらに、チンパンジーとヒトの子どもの発達を比べる研究から、両者が似ている部分とちがう部分が見えてきました。進化と発達の視点を組み合わせ、野生でのくらしや森の中で発揮される知性にも目を向け、ヒトの知性がどのような進化的基盤の上に成り立っているのか探ってみます。
なぜ私たちは動物園に行くのでしょう? 取っ組み合って遊ぶ子ザルを見れば楽しい気分になりますし、わが子を抱く母ザルを見ればやさしい気持ちになります。マンドリルの鮮やかな顔には「なぜ?」と思わずにはいられないでしょう。動物園は、動物の福祉に配慮しておこなわれる多様な研究により、私たちに新しい発見をもたらしてくれる知の宝庫です。今回は日本モンキーセンターでおこなわれている研究や展示をご紹介しながら、動物園と研究と保全について考えます。